ビジネスと人権

はじめに

SDGsやESGを課題としている企業が多くなりました。
ビジネスにおいても人権への取り組みを欠かすことはできません。ご存知のとおり,自社での人権侵害が許されないことはもちろん,取引先において人権問題がある場合でも,取引の障害となる場合もあります。ここでは,ビジネスと人権との関わりについての動向を簡単にご紹介します。

ビジネスと人権に関する指導原則

2011年に国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されました。ここでは,①各国家の人権保護義務,②企業の人権尊重責任,③救済措置へのアクセスが3つの柱として挙げられています。

我が国でも,2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)」が策定されました。2022年8月には, 経済産業省より「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン(案)」が公表され,パブリックコメントに付されています(*1)。各種セミナーなどで触れられることも多くなり,関心が高まっていることは間違いありません。

ドイツにおける注目される動向

ドイツでは,「サプライチェーンにおける人権侵害を回避するための企業家的注意義務に関する法律」が制定され,2023年1月より施行される予定です。当初は従業員3,000人以上の企業,2024年1月1日以降は従業員1,000人以上の企業が対象となるようですから,いわゆる大企業が対象となるようです(JETROウェブサイト「デューデリジェンス法が成立,2023年1月に施行」https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/06/e19fe7d028599c7e.html 2022年9月30日最終閲覧)。

ここでは,企業に対して,(1) リスク管理システムの構築,(2) リスク分析の実施,(3)防止措置の設定及び是正措置が求められているということです。ここで注目すべきは,直接の取引先の人権侵害が極めて深刻である場合や是正措置の効果がない場合には,取引関係の打ち切りが必要とされていることです。また,間接の供給者についても,防止措置や回避措置をとることが求められるとのことです(吉澤尚=宮川拓=河原彬伸「リスクマッピングでみる サプライチェーンの法務対応 第4回 人権侵害リスクと企業対応」ビジネス法務22巻11号61頁,63頁(2022))。

さいごに

我が国の話ではありませんし,ドイツでも大きな企業が対象ではありますが,今後はこのような傾向が強くなってくると思います。ビジネスと人権に関する動向に注目が必要でしょう。また,近時よく耳にする人権デューデリジェンスにも取り組んでいくことになろうかと思います。なお,人権デューデリジェンスに関しては,2022年2月に一般財団法人国際経済連携推進センターから「中小企業のための人権デューディリジェンス・ガイドライン」が公表されていますので,参考になるはずです。

*1 2022年9月13日に経済産業省より「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」として策定・公表されています。https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220913003/20220913003.html

その他の参考資料
日弁連ウェブサイト「ビジネスと人権に関する取組」2022年9月30日最終閲覧
https://www.nichibenren.or.jp/activity/international/human_rights/business.html

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