フリーランス新法に関する研修会で講師をさせていただきました

2024年2月7日に開かれました岡山弁護士会の会員向け研修「フリーランス新法に関する研修会」で講師をつとめさせていただきました。

フリーランス新法(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和五年法律第二十五号))は2023年4月28日に成立した新しい法律です。公布の日(同年5月12日)から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日に施行することになっています。

これまでに調査等した資料に基づき概要をお話させていただきました。フリーランス新法ができることにより多くのフリーランスに一定の保護が与えられることになります。企業としてもフリーランス新法に違反することのないよう十分注意を払う必要があります。少しだけご説明をします。

フリーランス新法では、フリーランスのことを「特定受託事業者」と定義しています。企業としては、取引の相手方が「特定受託事業者」に該当すればフリーランス新法の適用を受けることになります(特定業務委託事業者となります)。

「特定受託事業者」は従業員を雇っていないことが要件とされます(フリーランス法2条1項各号)。ただ、短期的・一時的な雇用であれば従業員を雇っているとはされていません。政府は「週労働20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる者」を「従業員」の基準として想定しています(厚労省ウェブサイト「Q&A」問2に関する回答(4頁))。

とはいえ、企業からは、取引の相手方がこの基準に該当するのかどうか分からない場合も多いと思われます。相手方の内部的な問題だからです。相手方に確認することも一つの方法ですが、疑わしい場合には相手方が「特定受託事業者」に該当するとして取引をした方がよいかもしれません。少なくとも今のところはフリーランス新法は最低限度の規律であり、そこまでの大きな負担にはならないはずです

そのほかの規制の内容などは内閣官房のウェブサイトなどをご参照ください。フリーランス新法によりフリーランスの保護については一定の解決をみました。ただ、これで問題がすべて解決したわけではありません。フリーランスにもいろいろな方がいらっしゃいます。実力があり経済的にも独立したフリーランスであれば、これで十分なのかもしれません。ですが、なかには十分に自立しきれず、特定の企業に経済的に依存してしまっているような場合もあるでしょう。このような方々には、さらに進んで労働法的な救済が与えられるような仕組みないしは解釈も必要になってくるかもしれません。この問題については、さらに検討をしていく必要があるように感じています。

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